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化学療法(抗がん剤治療)

入院: 化学療法準備その1 散髪

2014年10月14日 初回TC療法前日入院。

今回は2泊3日だし、そうそう贅沢もしてられないので大部屋に入った。6人部屋の窓側。

前回の手術の時に書き忘れたが、下着はユニクロのウルトラシームレスショーツが便利だった。ゴムも縫い目もないので、術前のパンパンに張った腹も、術後の縫ったばかりの傷跡も、締め付けられることがなく楽に過ごせた。ジップロックみたいな入れ物に入っていてかさばらない。安いし。

手続きを済ませ落ち着いてすぐ、院内理髪室の予約を頼んだ。
そろそろ髪を切りたいと思っていた矢先の癌発覚で、もう半年も伸ばしっぱなし。
退院後も美容院で長時間過ごす体力はなく、ずるずる来てしまった。
TC療法のパクリタキセルは脱毛の副作用が強く出るという。次いつ切れるか分からないから、思い切って短くしてもらうことにした。

理髪室は空いていて、すぐに呼ばれた。病院内だからこういうケースは珍しくないだろうと思い、そのまんま
「これから抗がん剤治療をするので、髪の毛が抜けると思うから、邪魔にならないようなるべく短くしてください」と頼んだ。
淡々とやってくれるかと思いきや、「あらまぁ気の毒に」「まだ若いのに」「普通に元気そうに見えるのにねえ」と終始普通のおばちゃんトーク全開だった。

一瞬丸刈りにしてもらおうかとも考えたが、短くしすぎると抜け毛の処理が、床に散らばったごま塩を拾うような感じで却って面倒になるらしい。結局長さ15cmくらいの半端なショートに落ち着いた。

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まとめ 化学療法(抗がん剤治療)

卵巣癌の術後化学療法(抗がん剤): ddTC療法

卵巣癌はしつっこい癌なので、手術をして例え病巣を全て取り去ることが出来ても、念のため細胞レベルでの完全な消失を目指して、引き続き抗がん剤治療をやるケースが多い。
それも術後出来るだけ早く。

投与する薬:
パクリタキセル(タキソール)とカルボプラチンという薬を併用するのが標準治療。パクリタキセルが一般名でタキソールは商標名。TC療法と呼ばれている。
パクリタキセルの主な副作用: 骨髄抑制、末梢神経障害(手足の痺れ)、脱毛
カルボプラチンの主な副作用: アレルギー反応、骨髄抑制、吐き気、腎障害

投薬は点滴で行い、投薬スケジュールはざっくり分けて月1ペースで行うマンスリー、週1ペースで行うウイークリーがある。
私の病院ではddTC(dose-dense TC)療法と言っていたが、週1ペースでのウイークリー投与を提案された。

投薬期間と休薬期間のセットをクールと呼ぶ。
TC療法は6クール投与が標準で、大体6ヶ月かかる。

マンスリーは3〜4週おきに2剤(パクリタキセル+カルボプラチン)をまとめて投薬する。

ddTC(ウイークリー)は
1週目: 2剤(パクリタキセル+カルボプラチン)
2週目: パクリタキセル1剤
3週目: パクリタキセル1剤
を投与する。これで1クール。
dose-dense(集中投与)の名の通り、休薬週はない
3週1クールペースでどんどん打って行く過酷な方法で、完遂率は50%を切るという。

マンスリーでもddTCでも生存期間に差はない。ただ、ddTCは無病生存期間を10ヶ月以上延長したという報告があり注目されている。
対応していない病院もまだ多く、どちらがいいというはっきりとした優劣は結論づけられていないようだ。

ddTC療法は外来で打てるし1回の所要時間が短くて済む一方、毎週通院する負担、針を3倍多く刺すという負担がある。

マンスリーに比べ、吐き気・末梢神経障害(手足の痺れ)などの副作用が比較的軽いと言われている。逆に骨髄抑制はddTCの方が強く出る。完走が難しいのはこのためのようだ。
比較的若くて全身状態がいい、要するに体力のありそうな人に勧めるらしい。

※ 休薬週を入れているケースもあるようです。

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化学療法(抗がん剤治療)

明細胞腺癌でも抗がん剤

2014年10月3日退院後初外来続き。
引き続き術後化学療法を提案されたが、「やりたくないです」と即答した。
吐き気が止まらず、全身が脱毛し、食欲が落ちてやせ細ってしまうというイメージが拭えない。

しかも明細胞腺癌に抗がん剤は効かないと色んなところで書かれている。そもそも毒物を体に入れるなんて嫌だ、と答えると先生は困惑した表情だった。
「明細胞腺癌に抗がん剤が効きにくいのは事実だけど、全く効かないというわけじゃないんですよ」

とはいえ、明細胞腺癌のみのTC療法奏効率を何度聞いてもはっきりした回答はなかった。卵巣癌全体のデータしかないというのだ。効きにくいというデータがある以上、ないこたないだろう、と勘ぐってしまう。
ガイドラインやエビデンスを重んじる先生が、やっても無意味な事は奨めないだろうとは思うのだけど。

一度返事を保留にして診察室を出た。
抗がん剤をやり始めたら、どんな副作用が出るか分からない未知の闘病生活の始まりだ。しかも半年もの長丁場!半年も続いたらそれはもはやライフスタイルと言ってもいい。手術の時以上にニコちゃんこと夫に迷惑をかけるだろう。
6ヶ月間様々な副作用に苦しみ、仕事も家事もままならず、ニコちゃんの生活までめちゃくちゃにして、そこまでやっても効くか効かないかよく分からない治療。そんな馬鹿な話ってあるだろうか?

待合室の長椅子に座りながら、ニコちゃんの顔を見つめて言った。
「…それでも、化学療法をやってみようかと思う」
ニコちゃんもやろうよ、と言うところだった。家のことは心配しなくていい、治療に専念して欲しい、と。ニコちゃんがそう言うのは分かっていた。そういう人だ。

すぐさま診察室にとって返し、「やっぱやります」と宣言。いつもは無表情な先生が少しほっとしたような顔になった。その場で投薬日が決定した。
初回は2泊3日の入院で行うという。

「手術で病巣は取り切れた。後は根治のための治療です」と先生は言った。
根治のため、という言葉が響いた。癌で根治という言葉はなかなか使われない。はっきり根治を狙えるのは初回治療の今回だけだという。
もっと辛いスタートラインから始める人もたくさんいる。親身になってくれる家族に恵まれ、根治の可能性があるというのに、自分1人不幸みたいな顔してやりたくないと駄々をこねるのも勿体無い話だと思った。
どうしても無理だったらやめればいい話だ。

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