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まとめ 入院(手術)生活

入院と手術のまとめ

手術日前日に入院し、入院期間は10日間だった。

手術は全身麻酔。ヘソをよけて20cm程縦に開腹。
術中迅速病理診断の結果、悪性と診断される。
両側卵管卵巣摘出術、腹式子宮単純全摘術、大網切除術施行。
つまり、病巣の左卵巣に加えて反対側の右卵巣と、子宮と大網を取った。
リンパ節は取らず。

腸と子宮に癒着があり、病巣が術中破綻した。腹水も50cc程あった。
病巣に溜まっていた漿液は2.2kgあった。
癒着を剥がすのに時間がかかり手術時間は7時間に及んだ。
出血は400ccと想定内に収まったため輸血はせず。

術後の経過そのものは順調だったが、
・硬膜外麻酔の影響で吐き気に苦しむ
・出血の影響で低血圧と貧血
・全身麻酔の喉への挿管の影響でに苦しむ
と傷とは直接関係ないところで難儀した。

術後2日目から食事、3日目からシャワー。
予定通り10日で退院。

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入院(手術)生活

術後1日目: 吐き気と貧血

2014年9月10日。手術翌日。
引き続き吐けない吐き気に苦しむ。

吐き気どめプリンペランが処方されるが全く効かない。座薬の吐き気どめも入れてくれたがこれも効果なし。
ナースさんが口をゆすぐよう水を持って来てくれるのでそれを口に含んでは出すのみ。後はずっといつ何が出てもいいようにうがい受けを覗き込んで過ごした。

そんな中、はいご飯でーすと言って全粥にカレイのクリーム煮を付けて持って来られた時はやり場のない殺意に燃えた。

昼になると「今日は歩いてもらいます」と導尿の管をひっこ抜かれた。自力でトイレまで行けということらしい。
術後はなるべく早く歩いた方が腸閉塞や癒着を防ぎ、回復のためにもいいというのが最近の常識なんだって。

歩きたいのは山々だが、血圧は70/30辺りをウロウロ。ヘモグロビンの値も低過ぎて起き上がるのが精一杯、起き上がっただけでクラクラし吐き気が復活。どうしても立てない。

巡回に来た医師によると、腸音がしないとのこと。術中に腸を沢山触るとびっくりして動かなくなるそうだ。
食べないと血圧が上がらない。血圧が上がらないと歩けない。歩かないと腸が動き出さない。腸が動かないと食べられないと言う悪循環を、どこかで断ち切らないと行けなかった。

吐き気は硬膜外麻酔のせいらしい。吐き気より痛みの方がマシだと訴え、夜になって麻酔を止めてもらったら、徐々に吐き気は落ち着いてきた。
代わりに、当たり前だけど痛みが出てきた。

夕食は食べようが食べまいがお構いなしに、当初の予定通り粥から普通食へと変わっていた。
食欲なんて全くない。食事について来たリンゴジュースのパックだけ、1日かけてやっと飲んだ。

夜になってようやくのろのろと立って歩き、自力でトイレを済ませることが出来た。急かさず無理させずずっとついていてくれ、クララが立ったばりに手を叩いて喜び褒めちぎってくれたナースさんの根気には本当に感謝しかない。

途中で執刀医のK医師が来て、悪性だったこと、両卵巣と子宮と大網を取ったこと、やっぱりおへその横まで切り上げざるを得なかったことを伝えられた。
子宮への癒着があり、病巣を割らずに出せなかったが全部取れました、と。
ちょっと待って今重要なことをさらっと言われた気がする。
割れた=術中破綻。卵巣内部の癌細胞を含んだ漿液が腹の中にぶちまけられたということではないの?

癒着であって浸潤ではないのですかと確認すると、そこは確定病理診断の結果を待つことになる、場合によってはステージが少し変わると言われた。
今後のことも含めて話を、と言われたが、フラフラしていて今の自分の思考力に自信がなかったので、後日にお願いした。今の自分の体でいっぱいいっぱいだった。

夜は眠剤が処方されたので何も考えず飲んで寝た。

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入院(手術)生活

手術終了後の様子: シバリング発動

2014年9月9日、卵巣癌摘出手術続き。

何度か声をかけられ目を開けると、何とも言えない不快感の嵐が襲ってきた。慌てて目をつぶり元の闇に逃げ込むが、すぐ声をかけられ呼び戻されてしまう。

「終わりましたよ」
何が終わったのかうっすら思い出し、意識が戻ってしまった途端、不快感がまたどっと押し寄せる。吐き気と様々な気持ち悪さと。痛みはそれほど感じなかった。

ベッドもまくらも不快で気に入らなかったし、荒っぽく病室へ運ばれている揺れも気持ち悪さに拍車をかけた。体は動かず、意識はぼんやり。
懐かしいニコちゃんこと夫の声で目を開けた。手を握ってくれたので、安心してまた目をつぶった。余り詳しく状況を知りたくない気分だった。

そのまま目を閉じていると、体が勝手に猛烈に震え出した。シバリングだ。低体温から一気に高熱へ。
シバリングへの対処は、熱が上がり切るまで体をさすり保温毛布でくるむ。寒さで体が勝手にガタガタ震える。上がり切ったところから氷で冷やすのだ。朦朧としていたおかげか、寒さも高熱のしんどさも感じなかった。
周りのナースさん達がせわしなくケアしてくれる様子を、他人事みたいに耳だけで聞いていた。

39.7℃迄一気に熱が上がり、そこからすうっと下がってシバリングは収まった。ニコちゃんの声に安堵が混じるのを聞いて、どうやら大丈夫そうだ、と思った。
気持ち悪さ、吐き気だけが残った。

声が出ない。ニコちゃんに息だけで「ひどい目にあった」とまずは感想を述べた。声が全く出ず込み入ったことを話せなかったので、iPadを貰い、指で「膝下にクッションを敷いて欲しい」と書いて伝えた。体勢が辛かったのだ。ニコちゃんは二言目にiPadとかwwと笑っていた。

吐き気が続くが、力が入らず2回ほどえずいたのみ。その度腹に痛みが走る。そして胃液どころか唾液も出ない。吐くことが出来れば多少は楽だろうに、ただ延々気持ち悪いばかりだった。

顔には小さな酸素マスク。導尿チューブが入っていて尿意は全く感じない。腹からはドレーンのチューブ。小さな麻酔のボトルが首から下げられ背中の硬膜外麻酔に繋がっている。両ふくらはぎは血栓防止のフットポンプで身動き取れず。

ベッドの足下で執刀医のK医師がニコちゃんに「無事終わりました。迅速病理診断の結果、残念ながら悪性でした、予定通り両側の卵巣と子宮、大網を取りました。癒着があったので時間がかかりました」と説明しているのが聞こえた。
頭が働かないので、ショックもなくただふーん、と思った。

出血量は想定内の400ccだったので輸血はしなかったが、現在貧血と低血圧の状態だそうだ。
終わったのは15:00頃で、手術室に入ってから7時間程経っていることになる。そう聞くと大手術だ。
しばらくしてニコちゃんはまた明日くる、と帰って行った。

個室に一人、終わりのない吐き気だけが残された。フットポンプのシュコーっという規則正しい音を聞きながら、ひたすら吐き気と戦っていた。
30分か1時間おきに看護師さんが体温や血圧を図りに来る。血圧は低いままで、熱も下がらないらしい。夜、座薬を入れてくれて、ようやく熱は下がった。

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