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退院後

退院後初外来:病理結果

2014年10月3日退院後初外来続き。

内診の後は病理診断結果の話。
卵巣癌でステージは1c。組織型はやはり明細胞腺癌だった。
病巣は左片側卵巣に限局しており、右側卵巣にも子宮にも洗浄水中にも癌組織はなかった。
しかし術中破綻したのに加え、術後の病理診断の結果、腹水細胞診が陽性だったため1cで確定した。


 

卵巣癌のステージは主にFIGO(国際産婦人科連合)の進行期分類表に基づいて決定される。ちょうど2014年に改訂版が発行されたそうだ。新基準は以下の通り。

I期:卵巣あるいは卵管内限局発育
IA 期:腫瘍が一側の卵巣(被膜破綻がない)あるいは卵管に限局し、被膜表面への浸潤が認められないもの。腹水または洗浄液の細胞診にて悪性細胞の認められないもの
IB 期:腫瘍が両側の卵巣(被膜破綻がない)あるいは卵管に限局し、被膜表面への浸潤が認められないもの。腹水または洗浄液の細胞診にて悪性細胞の認められないもの
IC 期:腫瘍が一側または両側の卵巣あるいは卵管に限局するが、以下のいずれかが認められるもの
IC1:手術操作による被膜破綻
IC2:自然被膜破綻あるいは被膜表面への浸潤
IC3:腹水または腹腔洗浄細胞診に悪性細胞が認められるもの

II期:腫瘍が一側または両側の卵巣あるいは卵管に存在し、さらに骨盤内(小骨盤腔)への進展を認めるもの、あるいは原発性腹膜癌
IIA 期:進展ならびに/あるいは転移が子宮ならびに/あるいは卵管ならびに/あるいは卵巣に及ぶもの
IIB 期:他の骨盤部腹腔内臓器に進展するもの

III期:腫瘍が一側または両側の卵巣あるいは卵管に存在し、あるいは原発性腹膜癌で、細胞学的あるいは組織学的に確認された骨盤外の腹膜播種ならびに/あるいは後腹膜リンパ節転移を認めるもの
IIIA1 期:後腹膜リンパ節転移陽性のみを認めるもの(細胞学的あるいは組織学的に確認)
IIIA1(i):転移巣最大径 10mm 以下
IIIA1(ii):転移巣最大径 10mm をこえる
IIIA2 期:後腹膜リンパ節転移の有無にかかわらず、骨盤外に顕微鏡的播種を認めるもの
IIIB 期:後腹膜リンパ節転移の有無にかかわらず、最大径 2cm 以下の腹腔内播種を認めるもの
IIIC 期:後腹膜リンパ節転移の有無にかかわらず、最大径 2cm をこえる腹腔内播種を認めるもの(実質転移を伴わない肝および脾の被膜への進展を含む)

IV期:腹膜播種を除く遠隔転移
IVA 期:胸水中に悪性細胞を認める
IVB 期:実質転移ならびに腹腔外臓器(鼠径リンパ節ならびに腹腔外リンパ節を含む)に転移を認めるもの


 

この表によると私は術中破綻なら1c1の筈だったが、腹水細胞診(+)のためステージ1c3ということになる。

病巣は割れてないのに何で腹水の中にがん細胞がこぼれてるんですか、と聞いてみたら、漿液でぱんぱんだとどうしても浸み出して来ちゃったりするらしい。

癌は手術でばっちり全部取ったから、しかもお腹の中もよーく洗ったから!と繰り返し言われた。
なるほど、術後麻酔から覚めた途端シバリングを起こしたのは、お腹をじゃぶじゃぶ洗って低体温になっていたせいか。覚めた時保温もされてなかったし。まぁそれくらい念入りに洗ってくれたのはありがたいけど。

手術は成功し癌は取り去った。そしてその上で根治のために化学療法を提案します、と言われた。
今は何の治療もしていない状態だから、来週か再来週か、早い方がいいという。

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入院(手術)生活

手術終了後の様子: シバリング発動

2014年9月9日、卵巣癌摘出手術続き。

何度か声をかけられ目を開けると、何とも言えない不快感の嵐が襲ってきた。慌てて目をつぶり元の闇に逃げ込むが、すぐ声をかけられ呼び戻されてしまう。

「終わりましたよ」
何が終わったのかうっすら思い出し、意識が戻ってしまった途端、不快感がまたどっと押し寄せる。吐き気と様々な気持ち悪さと。痛みはそれほど感じなかった。

ベッドもまくらも不快で気に入らなかったし、荒っぽく病室へ運ばれている揺れも気持ち悪さに拍車をかけた。体は動かず、意識はぼんやり。
懐かしいニコちゃんこと夫の声で目を開けた。手を握ってくれたので、安心してまた目をつぶった。余り詳しく状況を知りたくない気分だった。

そのまま目を閉じていると、体が勝手に猛烈に震え出した。シバリングだ。低体温から一気に高熱へ。
シバリングへの対処は、熱が上がり切るまで体をさすり保温毛布でくるむ。寒さで体が勝手にガタガタ震える。上がり切ったところから氷で冷やすのだ。朦朧としていたおかげか、寒さも高熱のしんどさも感じなかった。
周りのナースさん達がせわしなくケアしてくれる様子を、他人事みたいに耳だけで聞いていた。

39.7℃迄一気に熱が上がり、そこからすうっと下がってシバリングは収まった。ニコちゃんの声に安堵が混じるのを聞いて、どうやら大丈夫そうだ、と思った。
気持ち悪さ、吐き気だけが残った。

声が出ない。ニコちゃんに息だけで「ひどい目にあった」とまずは感想を述べた。声が全く出ず込み入ったことを話せなかったので、iPadを貰い、指で「膝下にクッションを敷いて欲しい」と書いて伝えた。体勢が辛かったのだ。ニコちゃんは二言目にiPadとかwwと笑っていた。

吐き気が続くが、力が入らず2回ほどえずいたのみ。その度腹に痛みが走る。そして胃液どころか唾液も出ない。吐くことが出来れば多少は楽だろうに、ただ延々気持ち悪いばかりだった。

顔には小さな酸素マスク。導尿チューブが入っていて尿意は全く感じない。腹からはドレーンのチューブ。小さな麻酔のボトルが首から下げられ背中の硬膜外麻酔に繋がっている。両ふくらはぎは血栓防止のフットポンプで身動き取れず。

ベッドの足下で執刀医のK医師がニコちゃんに「無事終わりました。迅速病理診断の結果、残念ながら悪性でした、予定通り両側の卵巣と子宮、大網を取りました。癒着があったので時間がかかりました」と説明しているのが聞こえた。
頭が働かないので、ショックもなくただふーん、と思った。

出血量は想定内の400ccだったので輸血はしなかったが、現在貧血と低血圧の状態だそうだ。
終わったのは15:00頃で、手術室に入ってから7時間程経っていることになる。そう聞くと大手術だ。
しばらくしてニコちゃんはまた明日くる、と帰って行った。

個室に一人、終わりのない吐き気だけが残された。フットポンプのシュコーっという規則正しい音を聞きながら、ひたすら吐き気と戦っていた。
30分か1時間おきに看護師さんが体温や血圧を図りに来る。血圧は低いままで、熱も下がらないらしい。夜、座薬を入れてくれて、ようやく熱は下がった。

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