手術終了後の様子: シバリング発動

2014年9月9日、卵巣癌摘出手術続き。

何度か声をかけられ目を開けると、何とも言えない不快感の嵐が襲ってきた。慌てて目をつぶり元の闇に逃げ込むが、すぐ声をかけられ呼び戻されてしまう。

「終わりましたよ」
何が終わったのかうっすら思い出し、意識が戻ってしまった途端、不快感がまたどっと押し寄せる。吐き気と様々な気持ち悪さと。痛みはそれほど感じなかった。

ベッドもまくらも不快で気に入らなかったし、荒っぽく病室へ運ばれている揺れも気持ち悪さに拍車をかけた。体は動かず、意識はぼんやり。
懐かしいニコちゃんこと夫の声で目を開けた。手を握ってくれたので、安心してまた目をつぶった。余り詳しく状況を知りたくない気分だった。

そのまま目を閉じていると、体が勝手に猛烈に震え出した。シバリングだ。低体温から一気に高熱へ。
シバリングへの対処は、熱が上がり切るまで体をさすり保温毛布でくるむ。寒さで体が勝手にガタガタ震える。上がり切ったところから氷で冷やすのだ。朦朧としていたおかげか、寒さも高熱のしんどさも感じなかった。
周りのナースさん達がせわしなくケアしてくれる様子を、他人事みたいに耳だけで聞いていた。

39.7℃迄一気に熱が上がり、そこからすうっと下がってシバリングは収まった。ニコちゃんの声に安堵が混じるのを聞いて、どうやら大丈夫そうだ、と思った。
気持ち悪さ、吐き気だけが残った。

声が出ない。ニコちゃんに息だけで「ひどい目にあった」とまずは感想を述べた。声が全く出ず込み入ったことを話せなかったので、iPadを貰い、指で「膝下にクッションを敷いて欲しい」と書いて伝えた。体勢が辛かったのだ。ニコちゃんは二言目にiPadとかwwと笑っていた。

吐き気が続くが、力が入らず2回ほどえずいたのみ。その度腹に痛みが走る。そして胃液どころか唾液も出ない。吐くことが出来れば多少は楽だろうに、ただ延々気持ち悪いばかりだった。

顔には小さな酸素マスク。導尿チューブが入っていて尿意は全く感じない。腹からはドレーンのチューブ。小さな麻酔のボトルが首から下げられ背中の硬膜外麻酔に繋がっている。両ふくらはぎは血栓防止のフットポンプで身動き取れず。

ベッドの足下で執刀医のK医師がニコちゃんに「無事終わりました。迅速病理診断の結果、残念ながら悪性でした、予定通り両側の卵巣と子宮、大網を取りました。癒着があったので時間がかかりました」と説明しているのが聞こえた。
頭が働かないので、ショックもなくただふーん、と思った。

出血量は想定内の400ccだったので輸血はしなかったが、現在貧血と低血圧の状態だそうだ。
終わったのは15:00頃で、手術室に入ってから7時間程経っていることになる。そう聞くと大手術だ。
しばらくしてニコちゃんはまた明日くる、と帰って行った。

個室に一人、終わりのない吐き気だけが残された。フットポンプのシュコーっという規則正しい音を聞きながら、ひたすら吐き気と戦っていた。
30分か1時間おきに看護師さんが体温や血圧を図りに来る。血圧は低いままで、熱も下がらないらしい。夜、座薬を入れてくれて、ようやく熱は下がった。

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