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入院(手術)生活

術後7日目: 今後の話

午前中院長先生とやらの回診に遭遇。ベッドの脇でにっこり挨拶して、お大事にどうぞと言われ、5秒で終わってびっくりした。
院長先生様ともなると、1患者5秒でさばくのかー。

順調なので予定通り明日退院に決まった。
退院前最後の内診と超音波検査でも異常なし。
最終的な病理診断結果はまだ出ていないが、夕方から執刀医K医師による今後のお話というのを、ニコちゃんこと夫と共に聞いた。

まず摘出した腫瘍の写真を見せてくれた。あまりにもビビッドあんどフレッシュな感じの内臓なんでさすがにブログには載せられない。
全体的な重さはわからないものの、内部に溜まっていた漿液は2.2kgあったという。
腹水は50cc程度あったそうだ。

肉眼で見る限り、左卵巣以外に悪い所はなかったとのこと。先生の字はきったなくて読みづらいが説明は分かりやすかった。

がんは① 病巣を取り切れたか ② 進行度 ③ 組織型で評価する。

① に関しては取り切れたという。術中破綻してしまったが、破綻イコール播種とは考えないらしい。

② に関しては、片側の卵巣のみで確定すれば1a、でも術中破綻したから1c。
子宮と腸に癒着があり、その部分の病理検査結果が浸潤であればステージは2aまで進む。

ここまでの説明は想定内だった。問題は③ 組織型について。
迅速病理診断の結果は、明細胞腺癌の可能性あり、という全く予想外の注釈が付いて居た。
最近増えていて、比較的早期に発見されることが多いが、抗がん剤が効き辛く予後が悪い、いわゆる顔つきの悪いタイプのガンだ。

早期であるのが幸いだが、これだった場合たとえステージが1aでも化学療法をすることになる。TC療法という鉄板の療法を6クール6ヶ月やるそうだ。
やってもやらなくても、その後5年かけて経過観察だ。検査に耐え再発に怯えながら暮らす日々。一番嫌だと思ったことが自分のところに回ってくるもんなんだなぁと思った。
悪性腫瘍とか開腹手術と言われた時以上にダメージが大きかった。

せっかく手術という大仕事が終わって、後は回復するだけだと思っていたのに…。
まぁとにかくまずは退院だ。一つずつ片付けて行くしかない。

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入院(手術)生活

術後1日目: 吐き気と貧血

2014年9月10日。手術翌日。
引き続き吐けない吐き気に苦しむ。

吐き気どめプリンペランが処方されるが全く効かない。座薬の吐き気どめも入れてくれたがこれも効果なし。
ナースさんが口をゆすぐよう水を持って来てくれるのでそれを口に含んでは出すのみ。後はずっといつ何が出てもいいようにうがい受けを覗き込んで過ごした。

そんな中、はいご飯でーすと言って全粥にカレイのクリーム煮を付けて持って来られた時はやり場のない殺意に燃えた。

昼になると「今日は歩いてもらいます」と導尿の管をひっこ抜かれた。自力でトイレまで行けということらしい。
術後はなるべく早く歩いた方が腸閉塞や癒着を防ぎ、回復のためにもいいというのが最近の常識なんだって。

歩きたいのは山々だが、血圧は70/30辺りをウロウロ。ヘモグロビンの値も低過ぎて起き上がるのが精一杯、起き上がっただけでクラクラし吐き気が復活。どうしても立てない。

巡回に来た医師によると、腸音がしないとのこと。術中に腸を沢山触るとびっくりして動かなくなるそうだ。
食べないと血圧が上がらない。血圧が上がらないと歩けない。歩かないと腸が動き出さない。腸が動かないと食べられないと言う悪循環を、どこかで断ち切らないと行けなかった。

吐き気は硬膜外麻酔のせいらしい。吐き気より痛みの方がマシだと訴え、夜になって麻酔を止めてもらったら、徐々に吐き気は落ち着いてきた。
代わりに、当たり前だけど痛みが出てきた。

夕食は食べようが食べまいがお構いなしに、当初の予定通り粥から普通食へと変わっていた。
食欲なんて全くない。食事について来たリンゴジュースのパックだけ、1日かけてやっと飲んだ。

夜になってようやくのろのろと立って歩き、自力でトイレを済ませることが出来た。急かさず無理させずずっとついていてくれ、クララが立ったばりに手を叩いて喜び褒めちぎってくれたナースさんの根気には本当に感謝しかない。

途中で執刀医のK医師が来て、悪性だったこと、両卵巣と子宮と大網を取ったこと、やっぱりおへその横まで切り上げざるを得なかったことを伝えられた。
子宮への癒着があり、病巣を割らずに出せなかったが全部取れました、と。
ちょっと待って今重要なことをさらっと言われた気がする。
割れた=術中破綻。卵巣内部の癌細胞を含んだ漿液が腹の中にぶちまけられたということではないの?

癒着であって浸潤ではないのですかと確認すると、そこは確定病理診断の結果を待つことになる、場合によってはステージが少し変わると言われた。
今後のことも含めて話を、と言われたが、フラフラしていて今の自分の思考力に自信がなかったので、後日にお願いした。今の自分の体でいっぱいいっぱいだった。

夜は眠剤が処方されたので何も考えず飲んで寝た。

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入院(手術)生活

術前説明と衝撃のMRI

2014年9月8日入院初日(手術前日)続き。
15:00 入院のバタバタが一段落したところで、執刀医から術前説明に呼ばれた。ニコちゃんこと夫が同伴。

初めて横からのアングルでMRI画像を見せてもらった。それはショッキングな画像だった。
腹の大部分を真っ白な風船状に膨れ上がった卵巣が占め、他の内臓を圧迫している。中身は漿液だと言う。下の方にモヤモヤと色水が混ざったような煙様の影が見て取れた。これが結節像といい、悪性を疑われている部分だ。
卵巣癌MRI
このようにブツがでかいため、縦割りで15cm、臍下指二本分位下から恥骨のあたりまで開腹すると言われた。
開腹手術で内臓が癒着したり腸閉塞(イレウス)になると聞いたんですが、と不安を伝えると、確かに術後1〜数カ月は要注意だが、確率で数%くらい。癒着防止シートももちろん使うそうだ。

子宮は全部取るが単純式で、広汎式で時に起こるような、周りの神経を損傷して排尿困難などが残る確率は低いという。周りの靭帯などまでは切らないからだそうだ。
他に聞くこともなくなり、ニコちゃんはここで帰って行った。

引き続き診察室にて内診。術前の最終確認らしく、執刀医2人が超音波で現在の位置と大きさを確認した。
ヘソの横の辺りまで来ている、うん来てますね、と話し声が聞こえた後、片手を膣から入れもう片手で上から腹を抑えて、内外で患部を挟み込むという牛相手かよ!と思う程荒っぽい方法で最終的な位置関係を把握。
そして「臍上まで切り上げることになりそうかも」と言われた。ヘソをグルリと避けて「?」の形に切るらしい。もうどうにでもなれだ。
膨張した卵巣が腸を避けスペースを求めて上の方までせり上がってきているという。よく破裂しなかったものだ。

病室に戻ると夕食。明日から2日程絶食になるらしいと聞き、目一杯詰め込んだ。
シャワーを浴び20:00過ぎにニコちゃんに連絡を取ると、バタバタしていてまだ夕飯も食べていないという。私はこの後ひっくり返って寝るだけだが、彼は明日朝イチで病院に駆けつけ、何時に終わるかもわからない手術の立会いだ。本当に病気は患者本人より周りが大変だと思う。患者本人は病気とだけ闘うが、周りは本人が闘病に専念できるよう細々と環境を整えていかなければならない。

21:00 下剤を飲んで術前の水分摂取終了。これより絶飲絶食となる。
だらだら起きていたが23:00諦めて就寝。夜中何度か目が覚めたが、修学旅行みたいに看護婦さんが見回りに来るので、つい反射的に寝たふりをしてしまう。

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