その他

見えない恐怖の始まり

化学療法が折り返し地点に差し掛かった頃から、「もうすぐ終わる!」という期待と共に、ある種の不安が表れてきた。
あれ程憂鬱だった化学療法なのに、終わってしまう事が不安なのだ。

通常の病気で治療の完了は治癒を意味する。しかしがんは多くの場合寛解という言葉を使う。
寛解とはwikiによると「永続的であるか一時的であるかを問わず、病気による症状が好転または、ほぼ消失し、臨床的にコントロールされた状態を指す」
要するに「取りあえず今はOK」という状態。
完治とは全く異なるニュアンスだ。

 

治療終了の喜びは、再発への恐怖の始まりでもある。
「なにもしていなくて大丈夫なんだろうか」
という漠然とした不安が拭えない。

ワクチンとか健康食品とか野菜ジュースとか、何かを始める気持ちがよく分かる。
何かをやっているという事実が欲しい。
「体のために○○を続けている」という事実で気持ちを支えながら、やっと前に進める気がするのだ。
メンタルの問題が大部分を占めるので、何をやるかはあまり問題ではない。

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 photo by チョコラテさん

 

とはいえ、面倒くさいのはイヤなのだ。マズイとか手間がかかるとか、苦行になったらどの道続けられない。
体のためにこんなに辛いことを我慢している・・・ という呪詛のような習慣では逆効果な気がする。
値段が高いのもイヤだ。こんなものに大金を払うんなら、もっと楽しいことに使った方が免疫力上がるんじゃね?と思ってしまうのだ。
こんな感じで私はワガママ過ぎるようで、幸か不幸か適切な代替療法が見つからなかった。

でも何かやっておきたい。

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経過観察

前とは違う身体

化学療法(ddTC療法)が終了して2週間後に、フォローアップ目的での診察を受けた。
血液検査と問診、今後の予定についての話し合い。

血液検査では白血球など数値の回復具合をチェック。
まだ血小板の値は低かったが、数値は順調に回復してきており、もう通常の生活をしてかまわないそうだ。

自分が気になる点として、
1. 手足の痺れ。
2. 腹部にいまだ違和感が残り、くしゃみをすると少し痛むこと
を伝えた。

先生によると、手足が痺れる末梢神経障害はうんと早ければ1ヶ月くらい、長ければ年単位かかる。あるいはずっと残るケースも珍しくはない。

腹部違和感については、恐らく手術部位で癒着が起こっているのではないかという。術後半年頃がちょうど出やすいそうだ。
長い目で見ていくと少しずつ剥がれて戻っていくので、気長に慣れていくしかない、と。
私「長い目ってどれくらいですか?」
先生「・・・・・10年とか、それくらいの感覚で」と言いにくそうに。

4584799455_1846eac222_z photo by Tinkerbots “BAB-O-BOT”

覚悟していたとはいえ、もう元の体とは違うのだと痛感した。
痺れて強ばった手足、動かすときしむ痛む四肢の関節、体を捻ったり腹筋を使うたびに他人の物のような違和感と鈍痛を発する腹。

全体的にしなやかさが失われ、ぎこちないブリキのつぎはぎロボットになったような気分だ。
動作をいちいち意識する必要なく、思い通りに体を動かせるって、何とありがたく素敵なことだったんだろう。

不自由な体を意識するたびに、病気の思い出一式が脳裏を駆け巡り、病気から気分的になかなか解放されない。
でも、これからはこの体と付き合っていかなければならない。

徐々に元の体に戻っていくと信じて、気長にいこう。

今後は3ヶ月に一度、内診エコー+細胞診マーカー検査。
半年おきにCTを丸4年程やることになる。

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まとめ 化学療法(抗がん剤治療)

ddTC療法副作用 まとめ

そんなわけで2014年10月~2015年3月まで約半年間、ウイークリーで6クールTC療法を行った。
年末年始でスケジュールがずれたのを1回延期とカウントすると、合計3回延期しながらの投与だった。
パクリタキセル単剤を2回スキップしたので、予定総投与回数18回より2回分少ない。

副作用は脱毛、むかつき、骨髄抑制、末梢神経障害など出やすいものは全て出た。
一方薬剤アレルギー、肝機能障害、腎機能障害、爪の変色変形は全く現れなかった。
喉元過ぎてしまったせいもあるけれど、実感としては
当初の予想よりは軽かった
「これくらいで済むならやっておいて良かった」
こんな感想を持てたのは、もっとも恐れていた嘔吐がなかったおかげだと思っている。

以下は私個人の体験した主な副作用の種類と発現タイミングをあらわしたもの。下に向かって時系列になっている。
副作用まとめ

色が濃いほど症状の重さを表す。○は化学療法実施、-は延期、×はスキップを指す。
副作用の出方や程度は千差万別で、一個人のデータにそれ程意味はない。
ただ、怖いイメージが先行する化学療法について、「これくらいで済む人もいるんだな」と参考程度にとらえてもらえればと思う。


 

ついでに製薬会社のサイトでは副作用の発現率について記載されていたので以下に抜粋する。
せっかくなのでウイークリーddTC療法とマンスリーTC療法を比較してみる。

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ddTC療法はやはりダントツで好中球減少と貧血が高い。つまり骨髄抑制の副作用が強く出るということだ。
一方で、マンスリーTC療法ではパーセンテージは低いものの、ウィークリーには項目がなかった過敏症/アレルギーが見られるようだ。
出典サイトのリンクを貼るべきなのだが、本来医療従事者向けページのようなので、興味のある方は沢井製薬のサイトを探してください。

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