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経過観察

抗がん剤を終えて

およそ5ヶ月に渡る化学療法、抗がん剤投与が終わった。
治療としては長いものの、人生においてはたった半年足らずの出来事だ。それなのに、治療前の生活がどんなだったかすぐには思い出せない。確かこんな感じだったかな、とおずおずと色んなことを再開し始めた。

もう毎日体温を測らなくても良いんだ。
もう生ものを食べても良いんだ。
もう週単位で体調を整えなくて良いんだ。
もう至れり尽くせりなのに扉の前で足がすくむ、あの点滴を打つ部屋へ行かなくて良いんだ。

まずはこれまで自粛していた海鮮ものを食べまくった。
奮発して回らないお寿司屋さんで貝づくしを堪能。早々に設けてくれた快気祝いの席ではお刺身三昧、休みの日には宅配寿司などなど。
どれもこれも素晴らしかったけど、正直「もう何を食べても良い」という事実が嬉しすぎて味を良く覚えていない。

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ご馳走をつつきながら、目の前の皿が空になるまで食べまくる男ニコちゃんこと夫がしみじみと、今回の件で随分色々と考え方が変わったと話してくれた。それはまさしく私の考えと同じだった。

もっと楽しんで生きよう。刹那的という意味ではなく、先のことばかり心配せずに、その時その時を楽しんで味わいたい。
それはとても大事なことだと思った。

私は何を根拠に80、90まで生きると信じ込んで、老後の心配ばかりしていたのだろう。誰も彼も明日どうなるかすらわかりゃしないのに。
ライフプランは大切だけど、今この瞬間をきちんと生きることをおろそかにしたくない。
別に太字で書くほど特別なことではない。しかし人間自分で経験して納得しないと、なかなか価値観や生き方は変わらないものだと痛感した。

まだそういう生き方に慣れていないので、どこから始めればいいのかよく分からないけど。

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