カテゴリ: その他

その他

乳腺外来: 消えた? 固まり

2015年2月12日。この日は乳腺エコー検査を受けた。

2014年8月に卵巣癌と分かった後、転移がないか調べるためCT検査を行った。その際転移を疑うものは出なかったが、片側乳腺に結晶化したような塊が映っていたのだ。
これは良性のものと見られるが、念のため半年後再検査をすることになった。で、この日がその6ヶ月後だったわけだ。

検査は思いのほか時間がかかった。先生が何度もプローブ(探触子)を往復させ画面を食い入るように見つめているので、こちらも色々よからぬ事態を思い浮かべてしまう。

緊張が伝わったのか、先生は一度手を止めて説明してくれた。
エコーは白い部分と黒い部分で見えるのだが、ホルモンの影響で見え方が変わる
前回の検査の後、女性ホルモンの源卵巣を全摘出し、ホルモンパッチで人為的に補充したことで、ホルモン環境が自然体とはかけ離れた状態になってしまった。

その影響で、白黒の配置や割合が激変してしまい、前回のデータとの比較が難しい。
しかも黒く見える部分が多くて見辛い。前回見つけた結晶化部分の場所は分かっているのだが、その辺りは真っ黒で、今日はそこに何も見えない、とのことだった。見えないのか消えたのか、判別がつかないそうだ。

エコー推移

家に帰って超音波検査の結果について考えた。見えないならいい。消えたんだとすると、それはどういうことなのか。
投薬治療と関係があるのだろうか。抗がん剤で消えたんだとすると、抗がん剤が効くようなものだったということか。
TC療法は乳がんの標準治療でもある。医者でも良性と見紛うほど初期の乳がんだったのか? 診察の日まで悶々として過ごした。


 

1週間後診察で結果が出た。エコーの結果は異常なし
ドクターの意見は「確かに、あった筈のものが見えなくなっている。良性の乳腺症かと思われていたが、そもそも何もなかったのかも知れない」
とにかくこれがこの後急に悪くなることはないので、念のため半年後にマンモグラフィと超音波でもう一度検査して、そこで何ともなければもう胸部については卒業と考えていい、とあっさり言われた。

TC療法で消えたんなら悪性だったんじゃないか心配だ、と伝えると、そうであれば願ったりじゃないですか、と言われた。何となく釈然としないものの、そんなものかなと思った。
何ともないならそれに越したことはない。

にほんブログ村 病気ブログ 卵巣がんへ
その他

あとどれくらい

久しぶりにネイルを塗った。手が痺れてうまく塗れないだろうと思ってきたけど、意外といつもの調子で出来た。
塗る時より落とす時の方が嫌な感じ。リムーバーの付いたコットン面を押し当て、こすり取るという作業が難しく、感覚も嫌な感じだった。

nail1

相変わらず楽しみはお風呂なので、クナイプの入浴剤を何種類か買った。
ラベンダーとかユーカリとか、割とベーシックな香りに癒された。


 

明細胞腺癌について調べていると、古かったり母数が少ないデータではあるが、抗がん剤の奏功率が2~5割くらいとか、3割〜5割は再発しているとか、中でも1c(2)の腹水内の細胞診陽性は予後が厳しいとか、10年生存率が50%とか、嬉しくないことばかり出てくる。(不確定情報を含みます

そもそも8~9割は良性な筈の卵巣膿腫の中からわざわざ残り1割の悪性を引き、そこから更に可能性20%の明細胞腺癌を引き当ててしまった時点で、もはや確率など当てにならないとは思う。

一度は覚悟を決めた筈なのに、数字で見ると心が揺らぐ。生きたい、という気持ちが持ち上がってくる。
こんなに色々よくしてくれるニコちゃんこと夫を悲しませるようなことはしたくない。ニコちゃんはああ見えてとても繊細な男だ。壊れちゃうんじゃないかと心配だ。

もう少し生きたいって、じゃああとどれくらいなら満足なのかと言われても答えが出ない。
出来るだけ長くみんな一緒に、としか願えないのは、手放したくないくらい幸せだからだ。幸せの中で逝けるなら、むしろいつだっていいのかもしれないけれど、そうあっさり割り切れないのが難しい。

少し足を伸ばしてトスカーナ料理の店で夕食を食べた。シャンデリアのゆらゆら照明と周りの客の喧噪にちょっと酔いつつ、重厚な木のテーブルで肩を寄せ合って、投薬終わったら何しようか、とひそひそ話をするのは楽しかった。
そう、やっと終わりが見えてきたのだ。あまり先のことまで想いを馳せず、楽しいことだけ考えていよう。

にほんブログ村 病気ブログ 卵巣がんへ
その他

TVの癌ネタ

自分が癌に罹ってみると、TVなんかでやたらがんの話題が目に付くようになる。
○○をするとがんになりやすいだの、△△はがんを予防するだの、芸能人の誰それががん告白だの。
病気になる前は関心を持ちつつも適当に流していたものだが、当事者になってしまうといちいちピクッと体が反応してしまう。
そして、その殆どが役に立たない情報であることに驚く。

がんになりやすいだのがんに効くだのが全て一緒くたの漠然とした「がん」情報であり、何癌の話なのか分からない。
がんの治療に光明!的な情報は希望を持たせてくれるが、結局の所実現はずっとずっと先の話で、今現在がんと闘っている人間に直接役立つことはない。

現在進行形のがん患者向けの番組というのは難しいのかも知れない。

年明け頃だったか、再現ドラマなんかでやたらと急性骨髄性白血病の少女という設定が続いた。決まって少女、行っても高校生までだ。
普通の癌やおっさんや子なしのおばはんではコンテンツにならないらしい。
髪が抜けてショックを受けたり、咳き込んで吐血したりというシーンは20年くらい前と全く同じでどうしても外せないシーンのようだ。大げさな作りでスタジオのゲストは競い合ってガン泣きで、何だか猛烈に白けてしまった。

一体誰に向けた何のためのドラマだったのだろう。
癌ってこんなに悲惨なものなんですよ、と癌未体験者の肝を程よく冷やすための「コワーイ話」なのか、別に癌でなくても良かったんだけどとにかく薄幸の少女を見せたかったのか。あえて癌体験者からの「ねーよ」というツッコミ待ちなのか。
実際にモデルとなった少女は、あれで良かったのだろうか。彼女が味わったであろう苦悩や悲しみや決意や希望は、あの中にきちんと表現されていたのだろうか。

まぁ、私は私のがんしか知らないから、全部大きなお世話なんだけど。

にほんブログ村 病気ブログ 卵巣がんへ